今日は7時45分発の高速船トッピーに乗って屋久島に行き、もののけ姫で有名になった白谷雲水峡に登る予定である。朝風呂に入ってから買っておいたパンをホテルのコーヒーで食べる。朝が早いのでホテルの朝食はとらないことにしていた。ホテルの前に待機していたタクシーに乗る。天気は芳しくない。灰色の空、桜島がその中に霞んで見える。空と海の区別がつかない。桜島と街との間だから海とわかるだけである。昼食用のおにぎりと水を港の売店で買う。
乗船するころから雨が降り出し、だんだんひどくなる。海は凪いでいて佐多岬を通過して外洋に出ても船は40ノットの高速ですべるように進む。2時間後に宮之浦港に着いたが、雨はざんざん振りになっていた。気が萎える。予約していたストックと雨具を観光センターで受け取り、バス停に行く。時刻表を見たら予定していた時刻にバスがない。ネットで時刻表を調べたのだが。仕方がないのでタクシーを呼んで登山口に行く。山が深い。木々に覆われて鬱蒼としている。
30分くらいで小さな広場に着く。管理棟がありその横を流れる小さな川は濁流である。雲水峡は沢を渡る場所が多く、管理人は入山できないと言う。しかし弥生杉を通るコースは大丈夫ということで出かける。最初に見た屋久杉は気根杉と呼ばれるもので幹に血管(根)がからみついたような感じで、しかも雨に濡れて生々しく気持ち悪かった。弥生杉は樹齢が3000年という割には細いような感じがした。ところどころの斜面で雨にかすんだ木立と濡れたこけの幻想的な姿をみたことに満足して早々と広場に戻る。
帰るときになって雨が小降りになり、待たせていたタクシーに乗って民宿やくすぎ荘に付いたときは雨はあがっていた。12時半頃でチェックインには早いがお願いして部屋に入れてもらう。鹿児島港で買ったおにぎりを食べ、濡れたものを干していたら日が差してきた。腹がたってくる。明日の縄文杉登山について屋久島ガイド協会と電話で確認を済ませた以外は何もする気がせず、テレビを見て過ごす。
6時になり夕食を食べに食堂に行く。ガイドブックに出ていた胸びれを上に挙げてはばたこうとしている飛び魚の唐揚げ、そしてかんぱちの刺身やさつま揚げなど盛りだくさん。見ているだけで機嫌が直ってくる。お酒は芋焼酎の三岳にする。九州に来たらやはり焼酎だが、芋焼酎はどうもくさくて苦手であった。芋しかないので三岳を飲むことにする。焼酎はロックで飲むことにしている。そんなにくさくない。結構いける。さつまいもの味がして、芋焼酎が良いという人の気持ちが始めてわかったような気がした。飛び魚の唐揚げは残念ながら背骨は歯が立たなくて残したがあとは全部食べた。香ばしく、与論島で食べたグルクンの唐揚げに似ていた。美味しい料理に美味しいお酒で幸せになった。旅行社がこの民宿は夕食が良いと評判だと言っていたが本当だった。